毒草どくそう)” の例文
この草の生の花茎かけいを口でんでみると、実にいやな味のするもので、ただちにそれが毒草どくそうであることが知れる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
しかし、その深林しんりんは、にとって、あまりこのましくなかった。なつにでもなれば、そこにはいろいろの毒草どくそうや、雑草ざっそうはないたであろうけれど、この時分じぶんには、まだはなすくなかったからです。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ピリ、ピリ、と、彼の女が呼子よぶこを吹くと、三人のニグロが其処そこへやって来て、見物席へお辞儀じぎをした。くちびる毒草どくそうの花のようにあかい、煙草たばこの葉のような皮膚の色を持った、恐ろしく背の高い蛮人ばんじんである。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
毒草どくそう毒薬どくやくをひそかにながしこんでおいたのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
毒草どくそうであるからだれもこれを愛植あいしょくしている人はなく、いつまでも野の草であるばかりでなく、あのような美花びかを開くにもかかわらず、いつも人にきらわれる傾向を持っている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)