欠陥けっかん)” の例文
旧字:缺陷
それには二つの欠陥けっかんがある。一つは、研究ノートにまだくわしく書きいれてないが、その人造人間に高圧電気で電撃でんげきをあたえることが必要なのだ。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうしてその発達がもはや完成に近い程度まで進んでいることは、その制度の有する欠陥けっかんの日一日明白になっていることによって知ることができる。
彼の儀容風貌ぎようふうぼうもすこぶる立派なので、平常はその欠陥けっかんも目につかないが、戦場となると、遺産や名門や風采ふうさいでは間に合わない。ここでは人間の正味そのものしかない。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(この頃ではどうもそれが自分の作家としての大きな才能の欠陥けっかんのように思われてならないのだけれど、)この老嬢たちにもらずらずのうちに働いていたものと見える。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
したったのであろうが佐助は春鶯囀を弾きつつどこへ魂をせたであろう触覚の世界を媒介ばいかいとして観念の春琴を視詰みつめることに慣らされた彼は聴覚によってその欠陥けっかんたしたのであろうか。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そして読者諸君はこれからくりひろげられる物語の事実により、はたしてかれの研究が本ものか、それとも欠陥けっかんがあるかを判定されればよいのである。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
張世平に、そう指摘されてみると、関羽は、自分らの仲間に、大きな欠陥けっかんのあるのを見いだした。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
由来ゆらい信州人は、智慾はさかんなるも、争気に富み、郷党和せず、という欠陥けっかんがあるのと、痩地の十万石で、貧乏財政をやりくりしてる藩役人は、狡策こうさくけ、一揆の対抗にはれきっているし
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
太平洋艦隊司令長官「……最大の欠陥けっかんは、命令系統が一つでないということだ。強敵日本軍に対して同時作戦が行われないでは、勝利へのみちは絶対に発見されないのだ。このことは再三余の繰返くりかえしたところだ」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)