樹海じゅかい)” の例文
地形ちけい起伏きふくがあり、多くは、れいのタンポポみたいなふしぎな木がむらがって樹海じゅかいをつくっている。その間に、ハチの巣のような家がてんてんと散らばっている。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まさかこんな山の中の樹海じゅかい(海のように、ひろい森)のまんなかの、あの人間の顔とそっくりの大岩の下に、こんな美術館があろうなんて、だれが想像するでしょう。
奇面城の秘密 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
すると、かれのまえに、裾野すその樹海じゅかいでも見たこともないような、山毛欅の喬木きょうぼくが天をして立っていた。蛾次郎はそう思った。まるでばけものみたいな大きな木だなアと。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その邸内の何町四方はいっぱいの樹海じゅかいだ。緑の波が澎湃ほうはいとして風にどよめき、太陽に輝やき立っているのである。ベルリンでは市民衛生のめ市中に広大なチーヤガルデン公園を置く。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
が、禁門軍のゆうこう大将ほどな男も、そこから奥の山ではまったくへばッた。第一夜は、樹海じゅかいの底の谷川を枕としてね、第二夜は、おののような天空の峰で身を横たえた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
樹海じゅかい土煙つちけむ
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここに立てば、ひるは東の真正面まっしょうめん富士ふじ銀影ぎんえい裾野すその樹海じゅかいがひと目にながめられ、西には信濃しなのの山々、北には甲斐かい盆地ぼんち笛吹川ふえふきがわのうねり、村、町、城下じょうか地点ちてんまでかぞえられる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)