うつ)” の例文
もとより、団十郎の幼稚な児騙ちごだましにも似た荒事とは違うて、人間の真実な動作しうちをさながらに、うつしている七三郎の芸を十分に尊敬もすれば、恐れもした。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
丹泉はしきりに称讃して其鼎をためつすがめつ熟視し、手をもつて大さをはかつたり、ふところ紙に鼎の紋様をうつしたりして、斯様いふ奇品に面した眼福を喜び謝したりして帰つた。
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ある日下町の割烹家から鰹の土佐焼を美しい祥瑞うつしの皿に盛つて送つて来た。
花は勁し (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
式場は院の栢殿かえどのの西向きのお座敷で御帳おんとばり几帳きちょうその他に用いられた物も日本の織物はいっさいお使いにならず唐のきさきの居室の飾りをうつして、派手はでで、りっぱで、輝くようにでき上がっていた。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
左にうつしし画にてそのつくり様を見たもうべし(第四図イ)、『鹿苑院殿御元服記ろくおんいんどのごげんぷくき』永和元年三月の条、〈御車新造、東寺より御輿、御力者十三人、牛飼五人、雑色ぞうしき九人、車副くるまぞい釜取以下〉とあるは
丹泉はしきりに称讃してその鼎をためつすがめつ熟視し、手をもっておおいさをはかったり、ふところ紙に鼎の紋様をうつしたりして、こういう奇品に面した眼福がんぷくを喜び謝したりして帰った。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)