構成かたちづく)” の例文
わが生活の内容を構成かたちづくる個々の意識もまたかくのごとくに、日ごとか月ごとに、そのなかばずつを失って、知らぬ間にいつか死に近づくならば
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところがそれが偶然ぐうぜん御米およねのためにめう行爲かうゐ動機どうき構成かたちづく原因げんいんとなつた。過去くわこ週間しうかんをつと自分じぶんあひだおこつた會話くわいわに、不圖ふとこの知識ちしきむすけてかんが彼女かのぢよ一寸ちよつと微笑ほゝゑんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
裸連——少くとも裸連の首脳の構成かたちづくる隣座敷の泊り客……の成功を祝せざるを得なかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところがそれが偶然御米のために妙な行為の動機を構成かたちづくる原因となった。過去一週間夫と自分の間に起った会話に、ふとこの知識を結びつけて考え得た彼女はちょっと微笑ほほえんだ。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人に指点す指の、ほっそりと爪先つまさきに肉を落すとき、明かなる感じは次第に爪先に集まって焼点しょうてん構成かたちづくる。藤尾ふじおの指は爪先のべにを抜け出でて縫針のがれるに終る。見るものの眼は一度に痛い。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)