査公さこう)” の例文
たちまち見る詰襟白服の一紳士ステッキをズボンのかくしにつるして濶歩す。ステッキの尖歩々ほほ靴のかかとに当り敷石を打ちて響をなす事恰も査公さこう佩剣はいけんの如し。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ゆきはいよ/\つもるともむべき氣色けしきすこしもえず往來ゆきゝ到底とてもなきことかと落膽らくたんみゝうれしや足音あしおとかたじけなしとかへりみれば角燈かくとうひかゆきえい巡囘じゆんくわい査公さこうあやしげに
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と云ったがうっかり倉の方へ這入り、盗賊どろぼうに長いものひっさげて出られちゃア堪りませんし、由兵衞はぶる/\して役に立ちませんから、幸三郎が自身に駈出して参ると、丁度巡行の査公さこうに出会いました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)