松露しょうろ)” の例文
松の木の根もとを掘ると松露しょうろというまるいきのこが出て来ることがあるが、それを、もう一そうでこぼこしたような感じの顔であった。
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
又、松露しょうろは食用蕈の中で一番大事なものだ。これは菌糸のやうに、やはり地中に生えるのだ。が、その匂ひでそのあり場所が分る。
別に白ソースを拵えてクリーム一合を注して西洋きのこに西洋松露しょうろ仏蘭西豆ふらんすまめなぞを加えて一時間煮て肉へかけます。ソースは少し固めにします。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
私は口に味もないはしを採りはじめる。木の芽やら海胆うにやら、松露しょうろやら、季節もののにおいが食卓のまわりに立ちめるほど、わたくしはいよいよ感傷的になった。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
去年の正月ある人に呼ばれて東京一流の料亭で御馳走になったときに味わった雑煮は粟餅に松露しょうろ蓴菜じゅんさい青菜あおなや色々のものを添えた白味噌仕立てのものであったが
新年雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
春には松露しょうろが沢山取れるという松林の中には、所々に名もない箪が出てるきりだったが、その代りに、尾長おながと俗に呼ばれてる白と黒と灰と三色の美しい鳥が沢山居た。
月明 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
磯馴松そなれまつ一樹ひとき一本ひともと、薄い枝に、濃い梢に、一ツずつ、みどり淡紅色ときいろ、絵のような、旅館、別荘の窓灯を掛連ね、松露しょうろが恋に身を焦す、紅提灯ちらほらと、家と家との間を透く、白砂に影を落して
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「入江に行ったら、帰りに松林で松露しょうろをとろうや、お父さん」
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
茯苓ぶくりゃうは伏かくれ松露しょうろはあらはれぬ
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
それへ牛乳を五しゃくクリーム五勺と西洋松露しょうろ少しとセリー酒を大匙二杯加えてまたよく煉って型へ入れますが型がなければ茶筒のふたでも何でも出来ます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
茯苓ぶくりょうは伏かくれ松露しょうろはあらはれぬ
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
なれたものは根の上からポクリと折り取るようにして根の先の土を動かさずにおきますからまた雨が降ると幾度いくどでも出て幾度でも採れます。松露しょうろを採ってもその通りです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
茯苓ぶくりゃうは伏しかくれ松露しょうろあらはれぬ
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)