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杞憂
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きいう
ふりがな文庫
“
杞憂
(
きいう
)” の例文
然るに各藩の執政者にして
杞憂
(
きいう
)
ある者は法を厳にし、戒を
布
(
し
)
きて、以て風俗の狂瀾を
遮
(
さへ
)
ぎり止めんと試みけれども、遂に
如何
(
いかん
)
ともする能はず。
粋を論じて「伽羅枕」に及ぶ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
國家の基礎が動揺して、今にも、革命の慘禍が渦まくかの樣に思つたことは、どうやら
杞憂
(
きいう
)
にすぎなかつたとも考へて見なければならなかつた。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
此の衰替の中でも殊に定家假名遣などは或時代の一の病氣のやうに見られるのであります。芳賀博士は少し之に付いて
杞憂
(
きいう
)
を抱いて御出でになる。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
けれども時代一般の空気が如何にも
生々
(
いき/\
)
として、多少進取の気運に
伴
(
ともな
)
つて奢侈逸楽等の弊害欠点の生じて来る事に対しても、世間は多くの
杞憂
(
きいう
)
を
抱
(
いだ
)
かず
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
耐
(
たま
)
らんな、
此
(
か
)
う取付けられちや!」と周三は、
其
(
その
)
貧弱
(
ひんじやく
)
極
(
きわ
)
まる
經濟
(
けいざい
)
の
前途
(
ぜんと
)
に
向
(
むか
)
ツて、少からぬ
杞憂
(
きいう
)
を
抱
(
いだ
)
いた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
今迄の心配は
杞憂
(
きいう
)
に過ぎなかつた樣にも思ふ。又、兄は自ら僞つてるのだとも思ふ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
島村氏のやうな正直で
温和
(
おとな
)
しい人が、嘘と掛引との多い劇界へ入つて、個性を
傷
(
きずつ
)
けられはしまいかといふのは、氏の友人知己の気遣ひであつたが、実際はそれも
杞憂
(
きいう
)
に過ぎなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
恐しい
杞憂
(
きいう
)
などはなくなつて、すべて愉快なこと、楽しいことの連続が思ひ浮べられた。帰らぬと思つて居る所へ不意に帰つて行つたら、
嘸
(
さぞ
)
かし皆が
吃驚
(
びつくり
)
するであらう。否な喜ぶであらう。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
己のかう思つたのが決して
杞憂
(
きいう
)
でないと云ふ事が間もなく証明せられた。突然この室と帳場とを隔てゝゐる幕を横へ引き開けて、その戸口に、髯男が一人、手に役人の被る帽子を持つて現はれた。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
一体世の中の事は、
斯
(
か
)
うなつて欲しいと思ふ願望が容易に実現しないものであると共に、斯うなつたら困ると思ふ
杞憂
(
きいう
)
も案外に到来せずに済むものである。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
“杞憂”の意味
《名詞》
杞憂(きゆう)
将来のことについて、する必要のない心配をすること。根拠のない心配。取り越し苦労。杞人憂天。
(出典:Wiktionary)
杞
漢検1級
部首:⽊
7画
憂
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“杞憂”で始まる語句
杞憂道人