木末こずゑ)” の例文
まことの歌である。島崎氏の歌は森の中にこもる鳥の歌、その玲瓏のさへづり瑞樹みづき木末こずゑまで流れわたつて、若葉の一つ一つを緑の聲にかさずば止まなかつた。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
汝は三冬さんとうにも其色を変へねば我も一条ひとすぢに此心を移さず。なむぢ嵐に揺いでは翠光を机上の黄巻くわうくわんに飛ばせば、我また風に托して香烟を木末こずゑの幽花にたなびかす。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
が、彼の境遇や肉体的エネルギイはかう云ふことを許すわけはなかつた。彼はだんだん衰へて行つた。丁度昔スウイフトの見た、木末こずゑから枯れて来る立ち木のやうに。……
或阿呆の一生 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
其枝の延し所を涼木すゞきといひ(船木より四里)木末こずゑの倒し所を木の末といふ。(船木より六里。)此近地より出る石炭は古樟の木片なるべし。木の末今は清末きよすゑとあやまるといふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
群禽むらどり木末こずゑにきほふひとなだれとほのながめもびあまりけり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
木末こずゑの雪を揺りこぼし
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
木末こずゑにうれひをかく
群禽むらどり木末こずゑにきほふひとなだれとほのながめもびあまりけり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
高い木末こずゑに葉が落ちて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
玉蘭はくれん木末こずゑより散りやすけらし下枝しづえの花ぞ日に照らひつつ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わが庭の高き木末こずゑ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
目に黒く木末こずゑかがよふ星月夜御院殿坂をひたぶるのぼる
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
目に黒く木末こずゑかがよふ星月夜御院殿坂をひたぶるのぼる
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)