木挽町こびきちやう)” の例文
晴代は朋輩の一人の与瀬二三子が大したことはないが、株屋の手代をペトロンにもつて木挽町こびきちやうでアパアト住ひをしてゐたが、その部屋へも遊びに行つた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
浜村屋菊之丞といふ女形が、木挽町こびきちやうで菅原をつたとき、覚寿かくじゆと梅王と千代との三役を勤めた事があつた。
采女町うねめちやう木挽町こびきちやう四丁目と相對してゐる通りで、ここの印刷屋の横町を拔けると、直ぐ木挽橋へ出られた。
エヽこれうがす、ナニ一りやうだとえ大層たいそう安いね、おもらまうしきやせう、小僧こぞうさんまた木挽町こびきちやうはうへでもお使つかひたらおんなせえ、わつし歌舞伎座附かぶきざつき茶屋ちやや武田屋たけだや兼吉かねきちてえもんです
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
一夕いつせき友とともに歩して銀街を過ぎ、木挽町こびきちやうに入らんとす、第二橋辺に至れば都城の繁熱漸く薄らぎ、家々の燭影しよくえい水に落ちて、はじめて詩興生ず。われ橋上に立つて友を顧りみ、ともに岸上の建家を品す。
漫罵 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
その日の夕刊が配達されると、木挽町こびきちやうの蔵相官邸の門衛は、ちやうどそこへ来合はせてゐた自分の話し相手に頓着なくいきなり夕刊をけて、蔵相親任のくだり読下よみくだした。そして