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朦々
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もう/\
濕つた土に
擦れる下駄の、音が取留めもなく
縺れて、疲れた頭が直ぐ
朦々となる。
霎時は皆無言で足を運んだ。
午後の講義を始める頃、停車場の方で起る
物凄い叫び声は私達の教室へ響けて来た。
朦々とした汽車の煙は
柵を越して
硝子窓の外までやつて来て、一時教室の内を薄暗くした。
殺氣朦々として
天を
蔽へば、
湯船は
瞬く
間に、
湯玉を
飛ばして、
揚場まで
響渡る。
寝られぬまゝに
夜は更けぬ。時計一点を聞きて
後、
漸く少しく
眠気ざし、精神
朦々として
我我を
弁ぜず、
所謂無現の
境にあり。
時に予が
寝ねたる
室の
襖の、スツとばかりに開く音せり。