有情うじょう)” の例文
彼にあってはウォールデンの湖水や森が有情うじょうであるばかりでなく、そこに住むいろいろな小動物や植物も人間のさまざまな性格と運命とを反映する。
彼にあってはウォールデンの湖水や森が有情うじょうであるばかりでなく、そこに住むいろいろな小動物や植物も人間のさまざまな性格と運命とを反映する。
とか「親鸞は父母の孝養のためとて、念仏一返にてももうしたることいまだそうらわず。そのゆえは、一切の有情うじょうはみなもて世々生々せせしょうじょうの父母兄弟なり。」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
して見ますれば、われわれ有情うじょうの凡夫が色に狂い、恋に迷うも、まことに是非ない儀でござりましょうか。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
第二に、一切の有情うじょうはすべて皆世々生々の父母兄弟である。——すなわち彼は、現世において、人として、父母の永遠の幸福を祈るのを無意義とするのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「三ごうに悪を造らず、諸々もろもろ有情うじょういためず、正念しょうねんに空を観ずれば、無益むやくの苦しみは免るべし」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
また「彷彿として」という二字があるために何だか雛にも手毬にも魂が這入はいって両者共に有情うじょうなものとなったような心地がする。尤もそれは雛や手毬が動き出すというのではない。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
四百万億まんおく阿僧祇あそうぎ世界せかいなる六しゅしょう衆生しゅうじょう有形うぎょうのもの、無形むぎょうのもの——有形無形うぎょうむぎょうのうち、慾界色界よくかいしきかい有情うじょう有形うぎょうにして、無慾無色界むよくむしきかい有情うじょう無形むぎょうなり……なンかと大分むずかしい文句だが
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
……もしまた、その琴の音が、風のまに、ここから近い敵の三木城にまで聞えて、彼らのあらぎもに、有情うじょうを思わせ、意味なき死をさとらせれば、これは大きなてがらだ。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、何も後顧こうこはないこの身ひとつとしている兵にしても、石でない木でない有情うじょうの心琴を揺すぶられて、何とはない涙がまなじりからひとりでに垂れてくるのをみな、どうしようもなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有情うじょう無情むじょう
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有情うじょうおに
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)