早言はやこと)” の例文
パンの破片かけら紙屑かみくづうしほねなど、さうしてさむさふるへながら、猶太語エヴレイごで、早言はやことうたふやうにしやべす、大方おほかた開店かいてんでも氣取きどりなにかを吹聽ふいちやうしてゐるのでらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「もうお膳を下げましてよろしゅうございましょうか」と、女中が勝手から顔を出して、尻上がりの早言はやことに云った。馴染なじみのないお玉には、なんと云ったか聞き取れない。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
パンの破片かけら紙屑かみくずうしほねなど、そうしてさむさふるえながら、猶太語エヴレイごで、早言はやことうたうようにしゃべす、大方おおかた開店かいてんでもした気取きどりなにかを吹聴ふいちょうしているのであろう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
恐ろしく早言はやことで、ことばは聞き取れない。土地のなまりの、にいと云う弖爾波てにはが、数珠の数取りの珠のように、単調にしゃべっている詞の間々に、はっきりと聞こえる。東京で、ねえと云うところである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)