敵同士かたきどうし)” の例文
殺しに行く……全く別な目的の二人が、今まで連れ合って歩いていたのです。つまり、あなたとわたくしとは、敵同士かたきどうしの間でありました
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かめ「それじゃア敵同士かたきどうしの此の丹治の子をお前は得心の上で目を掛けて育てゝおくんなさるか、誠に有難う存じます、どうぞ助けておくんなさい」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おさよはとうから見ぬいていたから、いよいよ左膳と栄三郎は敵同士かたきどうし、たがいに一対の片割れを帯して、その二刀をわが手に一つにしたいと求めあっているに相違ない……これだけのことが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おもふばかりで、何故なぜ次第しだい民也たみやにも説明せつめい出來できぬとふ。——にしろ、のがれられないあひだえた。孰方どつち乳母うばで、乳※妹ちきやうだいそれともあによめ弟嫁おとよめか、敵同士かたきどうしか、いづれ二重ふたへ幻影げんえいである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
呉越同舟ごえつどうしゅうといったようなものでしょう、ましておたがいに、今日まで見ず知らずでこそあれ、敵同士かたきどうしじゃないんですからね。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
其の翌年よくとしの九月産み落したのは此処に居ります此の四萬太郎しまたろうという忰で、これはお前とは敵同士かたきどうしの原丹治の子でございます、それから故郷ぼうがたしとは宜く云ったもので
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
猫と鼠とは前世からの敵同士かたきどうしで、猫は鼠を捕るように出来ているし、鼠は猫に取られるように出来ている。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
うなれば此のうち敵同士かたきどうしと、夢にも兄貴が怨みたら/\云ったが、兄貴がお仕置に成りながらも、三藏に怨みを懸けたと見えて、そのあだいえへ私が養子に来たと夢で其の事を知らせ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
持たなければならないのに、そのどちらもが敵同士かたきどうしとは、因果なことではありませんか
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)