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故國
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こゝく
斯う
考へると、
無限に
悲哀くなつて、たゞ
茫然と
故國の
空を
望んで、そゞろに
暗涙を
浮べて
居る
時、
今迄默然と
深き
考慮に
沈んで
居つた
櫻木大佐は、
突然顏を
上げた。
劍舞するのもある。
中に
一團七八
人の
水兵等は、
浪に
突出されたる
磯の
上に
睦しく
輪をなして、
遙かに
故國の
天を
望みつゝ、
節おもしろく
君が
代の
千代八千代の
榮を
謳歌して
居るのであつた。