收入みいり)” の例文
新字:収入
「でも、人助けのために思ひ切つて申上げませう。私はもう此處から引揚げて、もう少し收入みいりのある四宿の何處かへ行き度いと思つて居りますから」
うしろは五萬坪もある深い藪になつてゐて、筍や竹材で一年三千圓くらゐ收入みいりがあるとおばさんが云つた。群る竹幹の間に、高啼きを續けてゐるひよどりの聲が鋭どかつた。
京洛日記 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
彼等かれら自分じぶん田畑たはたいそがしいときにもおはれる食料しよくれうもとめため比較的ひかくてき收入みいりのいゝ日傭ひようく。百姓ひやくしやうといへば什麽どんな愚昧ぐまいでもすべての作物さくもつ耕作かうさくする季節きせつらないことはない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私が幸ひ獨身者には少し餘る位收入みいりがあるので、先方の路を乘越のつこして先へ出て見たのだ。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
またはう收入みいりおほはずではないか。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「死んだ主人がやかましくて、妾とふざけながらも、毎日の帳尻は見たといふくらゐだから、思ひの外奉公人達には收入みいりがなかつたのかも知れない」