)” の例文
「君は首をくくくなった男だから傾聴するが好いが僕なんざあ……」「歌舞伎座で悪寒おかんがするくらいの人間だから聞かれないと云う結論は出そうもないぜ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
オホホ、そういうわけで豆腐屋を呼びくなってその晩は里芋の堅いのをお吸物の実に入れて大層良人やどに笑われましたがそれから毎日一生懸命に副食物拵えの稽古です。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
まずお互い様に生命いのちに別条なく不幸中の幸い……しかし、我々は逃げくなって実にひどい目にいやした。逃げようといって、蔵前の方へも逃げられず、並木へと行けど、それも駄目なり。
それ故自分に尤も親しい名でゐながら彼は聞きくなつたのである。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
かんがえがここまで漂流して来た時に、余の右足うそくは突然すわりのわるい角石かくいしはしを踏みくなった。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)