推敲すゐかう)” の例文
などと、いやうも氣恥きはづかしいが、其處そこたふれまいと、一生懸命いつしやうけんめい推敲すゐかうした。このために、炎天えんてん一滴いつてきあせなかつたのは、あへうた雨乞あまごひ奇特きどくではない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
新体詩人の推敲すゐかう百端、未だ世間に知られずして、堕落書生の舌に任じて発する者即ち早く都門を風靡ふうびす、然る所以の者は何ぞや、亦唯耳をたふとぶと目を尚ぶとに因るのみ
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
その刹那せつなから可成かなりな心身の疲れにもかゝはらず、こまかく推敲すゐかうしつつ全部を書き直し、更にそれを三度書き直して、最後のふでを置いたのが忘れもしない十月十七日の夜の十二時近くなのであつた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)