振方ふりかた)” の例文
また居ようと思うなら振方ふりかたを考えるまで二日でも三日でも居さっせえ、わしン処はちっとも案ずることはねえんだから。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうかと言って差当り他にさがすべき職業はなく、また身の振方ふりかたを相談する人もない。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わしも、今日帰るみちで、決心したから、出発しようと思う、ついては不自由であろうが、わしが土州へて、身の振方ふりかたがつくまで、辛抱しんぼうしていてくれ、土州へ往て、身の振方の着き次第、迎いに来るなり
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
遣込つかひこみのこり少なに成ける程に心は彌猛やたけに思へどもなほ如何に共せんすべなく必竟ひつきやう斯る難澁なんじふに及ぶと云も兒の有故身の振方ふりかたも成ぬなり此上親子おやこ餓死うゑじにに成行事のかなしさよいつそ此子も妻諸共に死んでくれなば此樣に今の困苦こんく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)