拳法けんぽう)” の例文
「いや、吉岡拳法けんぽうの長男が、こんな所を歩いているぞと、人に振りかえられるのは嫌だ」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紀州熊野くまのの住人日下くさか六郎次郎が、いにしえ元亀げんき天正のみぎり、唐に流れついて学び帰った拳法けんぽうに、大和やまと島根の柔術やわらを加味くふうして案出せると伝えられる、護身よりも攻撃の秘術なのでした。
冬夜の炉辺ろへんに夏の宵のやりに幼少から父祖古老に打ちこまれた反徳川の思念が身に染み、学は和漢に剣は自源じげん擁心流ようしんりゅう拳法けんぽう、わけても甲陽流軍学にそれぞれ秘法をきわめた才胆をもちながら
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
気宇きうの小さなところが同時に見えいて、これではとても、吉岡拳法けんぽうの名声と、あの大きな道場とを、永くうけ継いで行ける器量ではない——とひそかに気の毒に感じるのだった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも武松の拳法けんぽう玉環たまめぐり”の一手や、“龍髯打雲りゅうぜんだうん”とか“水斬すいざん”の術などは、景陽岡けいようこうの猛虎ですら、眼をまわしたほどなもの。いかに蒋門神でも、しょせんは及ばなかったにちがいない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弟子の祇園ぎおん藤次にそそのかされて、遊里に足を入れはじめたのも近頃であるが、元来が父に吉岡拳法けんぽうという有名な人物を持ち、幼少から金の不自由も知らず、世間の底も知らず、まったく
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父の拳法けんぽうの名は、余りに世間へ大き過ぎていた。不肖ふしょうな子は、父の名声と遺産をになって歩くだけで精いっぱいであったのみか、到頭、それあるがために、身をも家をも、ここへ来てやぶってしまった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拳法けんぽう先生が偉かったので、余り世間が買いかぶっていたのさ。なんでも偉いやつは初代に限るな。二代となるともうそろそろ生温なまぬるくなり、三代でたいがい没落、四代目になっても、てめえと墓石のつり合っている奴アめったにねえ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平安 吉岡拳法けんぽう
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)