から)” の例文
すぐ同じような小箱を造り、油紙あぶらがみをかけ、縄でからげて、佐渡平の店から持って来たしるしつきの送り状へ、同じ宛名を書いてりつけた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その道の人にいわせれば魔術と奇術に相違はある、だが大ざっぱに一つからげにいえば、手品をつづめた「ずま」である。
奇術考案業 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
赤き顱巻はちまき向うざまにしめて、すそからげ、片肌脱ぎて、手にせる菓子の箱高く捧げたるがその銀六よ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鹽「あなたも不憫と思召おぼしめすならば、此の屍骸しがいわたくし一人では持ってまいることは出来ませんが、此処に細索ほそびきがありますから、これでからげて吊りまして、鉄砲の差荷さしにないで、一方かた/\担いではくれませんか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
山寨の人馬財物を一トからげにし、子分のうちから二十人を選り抜いて、ふたたびここへ戻って来る約束だ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ、野の一方に三、四ヵ所張ってある幕のあたりで、法衣みじかからげあげた法師たちがかしわの葉でくるんだ弁当の飯を喰べたり、湯をのんだりしているだけである。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その必要がないと見るとおのおの掻き集めた盗品を持ちやすいように包んだりたばからげたりし始めた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すそを高くからげあげて、草鞋わらじをはき、竹の子笠を被り、短い小脇差を差しているのである。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)