抹香まつかう)” の例文
その大合唱が、鐘と太鼓とあらゆる抹香まつかう臭い鳴物を動員した交響曲と共に、墨田川の水に響いて、淺草の觀音樣まで聽えたといふ話。
がくだアな、此方こつちへおで、こゝで抹香まつかうあげるんだ、これがおだうだよ。梅「へえゝこれ観音くわんおんさまで……これはなんで。近「お賽銭箱さいせんばこだ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
經文きやうもん讀誦どくじゆ抹香まつかうくさくなりて、むすめらしきにほひはとほかるべしとおもひしに、そのやうのぶりもなく、柳髮りうはついつも高島田たかしまだむすげて、おくすぢえりにださぬたしなみのよさ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
江戸の夏を飾る年中行事も一わたり濟んで、この上は抹香まつかう臭いお盆を待つばかりといふ頃。
そこは丁度お通夜で、家中が抹香まつかう臭くなつてをりました。一とわたり家の中の空氣を見ると、平次は若主人の半次郎と、妹のお梅を別室に呼び入れ、かなへになつて靜かな話を始めました。
「猫又法印に當りました。主人の殺された部屋の眞つ下に陣取り、下手人を斬り殺すんだと言つて、馬糞まぐそ臭い抹香まつかうを一升五合ばかりも焚き、獨鈷どつこを横喰へに、揉みに揉んでの荒行ですよ」