打萎うちしを)” の例文
二人は宙を飛んで一色邸に駈付けましたが、打萎うちしをれた道庵を慰めるすべもなく、何うする事も出來ない有樣だつたのです。
朽木のおのづかくづれ行くらんやうにも打萎うちしをれて見えし老女は、猛然もうねんとして振仰ぎ、血声をしぼりて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二 われら飢ゑまた渇き、草のごとく刈りとられ青菜のごとく打萎うちしをれたり
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
みすぼらしく打萎うちしをれぬ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
母屋へ行つて支配人の常吉に逢つて見ると、これも恰幅の好い五十男で、ひどくをひの勇次郎の死んだのが打撃だつたらしく、大きな身體で打萎うちしをれて居るのは氣の毒でした。
女は幺微かすかなる声して答へけれど、打萎うちしをれて、なかなか立ちもらず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
娘の沈んだ聲も、打萎うちしをれた樣子も、彦兵衞の怒りをなだめる由はなかつたでせう。
鬚深ひげふか横面よこづら貼薬はりくすりしたる荒尾譲介あらおじようすけは既にあを酔醒ゑひさめて、煌々こうこうたる空気ラムプの前に襞襀ひだもあらぬはかまひざ丈六じようろくに組みて、接待莨せつたいたばこの葉巻をくゆしつつ意気おごそかに、打萎うちしをれたる宮と熊の敷皮をななめに差向ひたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
平次は打萎うちしをれて引下がる和助の後ろ姿を見て居ります。