手利てき)” の例文
ここへみごとさらしにかけるまでの手柄を現わした、あの夜の名捕方——とどろきの源松という勘定奉行差廻しの手利てききでありました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鉄扇で相手をするという! 小癪こしゃくの態度と思ったが、すでに現われた三人の敵で、敵の技倆ぎりょうは知れている。いずれも素晴しい手利てききである。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのいずれもが剣客遠藤えんどう五平次の教えを受けた手利てききの人たちであるが、福島の祭りの晩にまぎれて重職植松菖助うえまつしょうすけ水無みなし神社分社からの帰りみちを要撃し、その首級をげた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
東軍流ではかなりの手利てきき、同じく飛び退くとヌッとし、抜き持った太刀づか気海へ引き付け、両肘を縮めて構え込んだが、すなわち尋常の中段である。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
人の手配てくばりに抜かりなく、ことにその手利てききの一人として机竜之助を頼んでおいた。明日になれば、首のない近藤勇の死骸を、島原界隈かいわいで見つけることができる。
ところが、この捕手が、意外なる手利てききでありました。十手はケシ飛ばされ、おのれは打挫うちひしがれたけれども、その瞬間に、鉤縄かぎなわを米友の着物の裾からチンバの右の足首にひっかけてしまいました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「バッタリ出会った駈落ち者、恐ろしい手利てききだと貴様に聞いたが……」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「チェ、もろく斬られたわい。……兄上なかなか手利てききじゃなア」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「素晴らしい手利てききが切ったと見える」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)