成丈なるたけ)” の例文
又小虫を払う事にも慣れて、成丈なるたけ小虫の集らぬ様に避け、或は払うて、左手ゆんでに蕨を握り、且つ小虫を払い、右手めてにて採る。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
食は麥飯を少々づつ、其外とり等格別膏氣あぶらけ之なきものを食用にいたし、成丈なるたけ米抔は勿論五穀を不食樣との事に御座候。肉は却而かへつて膏には不相成候由。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
次郎さんは鼻血をらしつゝ、弟の泣くかたへ走せ寄って吾をわすれて介抱かいほうした。父は次郎さんを愛してよくせなかおぶったが、次郎さんは成丈なるたけ父のせなを弟にゆずって自身は歩いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ほどこす事なく成丈なるたけ穩便をんびんにすべし萬一手荒てあらがましき事相聞えなば屹度きつと沙汰さたに及ぶぞ又此度の儀はかるき事にあらねば早速御用番の若年寄わかどしより衆に進達しんたつに及ふべし此旨主人へとくと申聞けよとてせき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
作「それはいかん、それじゃア御先祖の御遺言状にそむく、矢張指を切れ/\、不憫ふびんにも思うが是れも致し方がない、従来切来きりきたったものを今更仕方がない、併し長助、成丈なるたけ指を短かく切ってやれ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昨三十七年は我家わがいえの大厄難たるも、幸にして漸く維持を得たるを以て、尚本年は最も正直と勤倹とを実行し且つ傭人やといにん等に成丈なるたけ便宜を与えん事を怠らず
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)