コトゴト)” の例文
板屋は吹きあげられさうに、アフりきしんだ。若人たちは、コトゴトく郎女の廬に上つて、刀自を中に、心を一つにして、ひしと顔を寄せた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
名犬ハ税トシテモタフトマレ、一匹ノ価、百貫ヲ呼ブモアリ、武門コトゴトク、犬ヲ繋ギ、犬ニ仕へ、日、暮ルレバ又、宴楽アルノミ。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝は其族のありのコトゴト率て来て、此島より気多の崎まで、皆ナミ伏し度れ。吾其上を蹈みて走りつつ読み度らん。是に吾族と孰れ多きと云うことを知らん。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
コトゴトク右又ハ左ノ腕関節ニ支持セラレ、之ヲ支持点トシテ運動スル如ク構成セラレタルニ対シ、本願発明ニ於テハ、問題ノ多腕ヲ腕関節ニ添架セザルコトヲ特徴トスルモノニシテ
特許多腕人間方式 (新字新仮名) / 海野十三(著)
万法蔵院の香殿・講堂・塔婆・楼閣・山門・僧房・庫裡クリコトゴトく金に、朱に、青に、昼よりイチジルく見え、ミヅカら光りを発して居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
子弟ノ衣食、オノズカ余饒ヨジョウアリ。臣ニ至リテハ、外ニ任アリ。別ノ調度ナク、身ニシタガウノ衣食、コトゴトク官ニ仰ゲリ。別ニ生ヲ治メテ以テ尺寸ヲ長ズルナシ。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かく言いしかば、欺かえて列伏せりし時に、吾其上を読み度りし来て今、地に下りんとする時に、汝は吾に欺かえつと言い竟れば、即ち最端イヤハシに伏せる和邇、我を捕えてコトゴトに我衣服キモノを剥ぎき。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
故ニ都ヲ銀坑洞ト称シ、南蛮王ノ巣トシ、宮殿楼閣コトゴトク銀映緑彩リョクサイ、人ハミナ羅衣ライニシテ烈朱レッシュ臙脂エンジ濃紫ノウシ黄藍オウランヒルガエシ、又好ンデ、橄欖ノ実ヲ噛ミ、酒壺シュコ常ニ麦醸果酵バクジョウカコウタクワウ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今、明詔ヲ奉ジテ呂布ヲ征ス、モシ大軍ヲ抗拒コウキョスル者アラバ満門コトゴト誅滅チュウメツセン
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長公ノ御時ニサヘ、従ハザル諸所ヲ、カク僅カバカリノ間ニ、根来寺ネゴロジ雑賀サイガ熊野山中クマノサンチユウ高野領カウヤリヤウニマデ亘リテ、コトゴトク打チナビケ給フ、果断、決断ノ程、ヨク勘弁シテ見ルベシ。又アンヤ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)