そよ)” の例文
あの底知らずのたつくちとか、日射ひざし其処そこばかりはものの朦朧もうろうとしてよどむあたりに、——そよとの風もない折から、根なしに浮いた板ながら真直まっすぐに立つて居た白い御幣が
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そよとも動かぬ楢林の中で、梢にこびりついている残葉の或一枚だけが、ブルブル震えているのがあった、同じ梢に並んでいる葉が、皆沈黙しているのに、この葉だけは烈しくふるえている
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
かなしみは出窓のごとし連理草れんりさう夜にとりあつめそよかぜぞ吹く
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日射ひざしもそこばかりはものの朦朧もうろうとしてよどむあたりに、——そよとの風もない折から、根なしに浮いた板ながら真直まっすぐに立っていた白い御幣が、スースーと少しずつ位置をえて
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)