後月あとげつ)” の例文
土饅頭の下に眠っているのは、後月あとげつのちょうど今日、兄十兵衛の木剣のために、道場でただ一打ちに撃殺うちころされた浪人の綾部大機の亡骸なきがらだった。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文「えー……それは知らねど……どうも思い掛けない、何時いつのことで……フーン後月あとげつ二十七日のに桜の馬場において何者に」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
咽喉のどが、かわく。雨も、久しく降りませぬな。いつであったかな。後月あとげつの半ばであったかな、降ったのは」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ご勅使、大原卿おおはらきょうの、供の内に加わって、後月あとげつから参っているが、ご逗留とうりゅうが永いので、吾々は毎日欠伸あくびだ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後月あとげつから腰が立たねえで寝ているというこころ。誰が来ても会わねえぜ。あんたは女房の役、な、看病やつれを見せてやんな。さ、今にも来る。頼みましたよ」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
御馳走をして祝儀をくれ、有難い得意が出来たと思い、足を近く参りました、そうすると向うでも、度々参りますからわたくしの好き嫌いも知るようになりました、後月あとげつ十一日にわたしが参りますと
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかも彼は、後月あとげつの十八日、こうはやって、小牧山の敵の堅塁へいどみかかり、惨憺さんたんたる敗北をうけている。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此様こんなに人をだますようなことをなさろうとは思わなかったが、後月あとげつ来たら碁を打て/\と先生が勧めるから、お相手の積りで碁を打って、初めは私に飴を食わせ、勝たして置いて賭碁をしろと仰しゃり
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
和議のことは、元々、後月あとげつの末頃から、御当家よりはなしを進めさせたもので、秀吉から云って来たものではなし、その秀吉も、神ならぬ身の、何で京都の兇変きょうへんを、事前に知って計ることができよう
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『伝馬牢へ下げられたのが、後月あとげつ八日ようかでした』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)