引掴ひつつか)” の例文
そして大きな石をあげて見る、——いやはや惡魔共が居るわ/\、かたまり合つてわな/\ぶる/\慄へてゐる。それをまた婆さんが引掴ひつつかんで行つて、一層ひどくコキ使ふ。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
半四郎は腕さしのばして久兵衞の首筋くびすぢ引掴ひつつかみ忽ち其所へ捻伏ねぢふせ玄翁げんおうの如きこぶしを振上ふりあげ久兵衞が面體を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一同はお浜御殿はまごてんの石垣下まで漕入こぎいつてから空腹くうふくを我慢しつゝ水の上の全く暗くなるのを待ち船宿の桟橋へあがるや否や、店に預けて置いた手荷物を奪ふやうに引掴ひつつかみ、めい/\あとをも見ず
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
で、その引掴ひつつかんで、シイトをやゝとほくまで、外套ぐわいたう彼方むかうげた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)