“幾羽(いくは)” の例文
河(かは)の面(おもて)は悲しく灰色に光つてゐて、冬の日の終(をは)りを急がす水蒸気(すゐじようき)は対岸の堤(つゝみ)をおぼろに霞(かす)めてゐる。荷船(にぶね)の帆(ほ)の間(あひだ)をば鴎(かもめ)が幾羽(いくは)となく飛び交(ちが)ふ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
人のきたるか又はあやしきを見れば、かのばん鳥(とり)羽(は)たゝきをなす、余(よ)のとりこれをきゝ、いかに求食(あさる)ともねぶるとも此羽たゝきをきゝあやまらず、幾羽(いくは)も乱(みだれ)て飛(とび)あがり、さて列(れつ)をなして去(さ)る。
翔(かけ)り翔る夕焼つばめ幾羽(いくは)つばめ羽振(はぶり)疾(はや)けば裂尾(さきを)のみ見ゆ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)