平胡坐ひらあぐら)” の例文
おもて長く髪の白きが、草色の針目衣はりめぎぬに、朽葉色くちばいろ裁着たッつけ穿いて、草鞋わらんじ爪反つまぞりや、巌端いわばなにちょこなんと平胡坐ひらあぐらかいてぞいたりける。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
村方一同寄るとさわると、立膝に腕組するやら、平胡坐ひらあぐら頬杖ほおづえつくやら、変じゃ、希有けうじゃ、何でもただ事であるまい、と薄気味を悪がります。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平胡坐ひらあぐらでちょっと磁石さ見さしつけえ、此家ここ兄哥あにやが、やっこてめえ漕げ、といわしったから、何の気もつかねえで、船で達者なのは、おらばかりだ、おっとまかせ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隣のおでん屋の屋台が、軒下から三分が一ばかり此方こなた店前みせさきかすめた蔭に、古布子ふるぬのこ平胡坐ひらあぐらつぎはぎの膝かけを深うして、あわれ泰山崩るるといえども一髪動かざるべき身の構え。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と前はだけの平胡坐ひらあぐら、ぬいと腕まくりで突出したのが飯喰茶碗。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
医師せんせいはむくむくと起きて、平胡坐ひらあぐらで、枕をおとがい突支つッかって
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)