干乾ひぼ)” の例文
「だんだん技量うでが上がることのウ……頼もしいお神さんを持っているので、浪人になっても干乾ひぼしにもならず、俺アくらせるというものさ」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いかに智恵袋をしぼッても、こんな山寨さんさいでは防ぎきれまい。第一、ふもとをぐるりと取巻かれて持久戦と出られたら、たちまち干乾ひぼしに見舞われる」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「冗談じゃありませんよ、親分、米櫃こめびつは空っぽですよ、下手人が七日も挙がらなかった日にゃ、あっしは干乾ひぼしだ」
それから、僕のほかの三人は、独身じゃねえんだぞ。女房もあり子供もある人間だ。てめえの裏切りが、何人の人間を干乾ひぼしにするか、よく考えて見ろ!
機関車 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
どうかせねばと思案をしても。どうも仕様が見当りませぬ。とかくするうち無理算段した。金は無くなる、仕事は出来ない。やがて一家が干乾ひぼしは眼の前。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
干乾ひぼしにすれば親殺しになるから、だまっていても明日の朝は開けにくるよって——
詩を書いていたところで、一生うだつがあがらないし、第一飢えて干乾ひぼしになるより仕方がない。私が、栗島澄子ほどの美人であるならば、もっとしあわせな生き方もあったであろう……。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「だめです。あらゆる作戦も、ほとんど城中の敵には、何のこたえもないかのようで。——この上はただほりを深め、さくをかため、長囲を期して、敵を干乾ひぼしにするよりほかには」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「行きたくなくたって、行かなければこっちが干乾ひぼしになるじゃないですか?」
猟奇の街 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「そうはゆかない。味噌みそもないし炭もない。この兼好さん、干乾ひぼしになっちゃう」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬鹿野郎! それをおれに教えるっていうのか? てめえのお袋は、てめえの親父おやじが死んでから生活に困って、自殺をしたんだぞ。そんでてめえらは、干乾ひぼしになってしまうところだったんだ。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「だって、この子を、干乾ひぼしにするわけにもゆくまい」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)