帰朝きちょう)” の例文
旧字:歸朝
そしてそのタチバナの名は、その常世とこよの国からはるばるとたずさ帰朝きちょうした前記の田道間守たじまもりの名にちなんで、かくタチバナと名づけたとのことである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
N君は南洋貿易の用件を帯びて、シンガポールからスマトラの方面を一周して、半年ぶりで先月帰朝きちょうしたのである。
マレー俳優の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その年うるう五月五日、咸臨丸かんりんまる無事ぶじ帰朝きちょうし、かん浦賀うらがたっするや、予が家の老僕ろうぼくむかいきたりし時、先生老僕ろうぼくに向い、吾輩わがはい留守中るすちゅう江戸において何か珍事ちんじはなきやと。
二年ばかり海外に旅をしたこと(帰朝きちょうしたのはつい一昨年いっさくねんの暮であったが、その二年の間、静子は毎日茶、花、音楽とうの師匠にかよって、独居ひとりいの淋しさをなぐさめていたのだと語った)
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その午後には、羽柴一家総動員をして、帰朝きちょうの壮一君を、羽田空港に出むかえました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)