ぎれ)” の例文
これは吾輩が自身にボロぎれを拾って来て縫付けたもので、このポケットは木綿の手織縞ておりじまだ。こっちの大きいのは南洋更紗さらさの風呂敷で、こっちのは縮緬ちりめんだから二枚重ねて在る。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
髪は、たしか、結綿ゆいわたと覚えている。ぎれしぼり鹿の子は、少し寝くずれた首すじに、濃むらさきの襟が余りにも似合っていたし、早熟ませな十九の男には、眼に痛いほど、蠱惑こわくだった。
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其処へ、また、赤や黄や濃い藍染めの更紗ぎれを頭からひっかぶったオロチョンの子供たちがぞろぞろと集って来た。服は廉物やすものの白に花模様のキャラコの更紗で、何れも韃靼風のものかと思われた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
右の手首の形はなく、ゴムぎれのようなものでグルグルいてある。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)