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巌谷
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いはや
此人は
何でも十三四の
頃から
読売新聞に
寄書して
居たので、
其の
文章を見た目で
此人を
看ると、
丸で
虚のやうな
想がしました、
後に
巌谷も
此の
初対面の時の事を
言出して
此人の
紹介で
社中に加はる事になつたのでした、
其頃巌谷は
独逸協会学校に
居まして、お
坊さんの
成人したやうな少年で、
始て
編輯室に来たのは学校の
帰途で、
黒羅紗の
制服を着て
居ました
巌谷の
紹介で入社したのが
江見水蔭です、
此人は
杉浦氏の
称好塾に
於ける
巌谷の
莫逆で、
其の
素志と
云ふのが、
万巻の書を読まずんば、
須く
千里の道を
行くべしと、
常に
好んで
山川を
跋渉し