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峙
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そば
ふりがな文庫
“
峙
(
そば
)” の例文
そうして、一つどんと
素気
(
そっけ
)
なく鳴ると共にぱたりと留った。余は耳を
峙
(
そば
)
だてた。一度静まった夜の空気は容易に動こうとはしなかった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おつぎが
慌
(
あわ
)
てゝ
後
(
うしろ
)
を
向
(
む
)
かうとする
時
(
とき
)
、
復
(
ふたゝ
)
び
劇
(
はげ
)
しく
打
(
う
)
つた
手
(
て
)
がおつぎの
鼻
(
はな
)
に
當
(
あた
)
つた。おつぎは
兩手
(
りやうて
)
で
鼻
(
はな
)
を
抑
(
おさ
)
へて
縮
(
ちゞ
)
まつた。
女同士
(
をんなどうし
)
は
樅
(
もみ
)
の
木陰
(
こかげ
)
に
身
(
み
)
を
峙
(
そば
)
めて
手
(
て
)
の
出
(
だ
)
し
樣
(
やう
)
もなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その時突然奥の間で細君の
唸
(
うな
)
るような声がした。健三の神経はこの声に対して普通の人以上の敏感を
有
(
も
)
っていた。彼はすぐ耳を
峙
(
そば
)
だてた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人が風に耳を
峙
(
そば
)
だてていると、下女が風呂の案内に来た。それから
晩食
(
ばんめし
)
を食うかと聞いた。自分は晩食などを欲しいと思う気になれなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
場所が場所なので、花よりもそちらを向いて眼を
峙
(
そば
)
だてている人が沢山あった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
津田は陰晴定めなき天気を相手にして戦うように
厄介
(
やっかい
)
なこの友達、もっと適切にいうとこの敵、の事を考えて、思わず肩を
峙
(
そば
)
だてた。するといったん
緒口
(
いとくち
)
の
開
(
あ
)
いた想像の
光景
(
シーン
)
はそこでとまらなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
峙
漢検1級
部首:⼭
9画
“峙”を含む語句
対峙
相対峙
峙立
伊峙
対峙中
對峙
環峙
相對峙
蟠峙