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岨路
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そばみち
ふりがな文庫
“
岨路
(
そばみち
)” の例文
と小声に
吟
(
ぎん
)
じながら、
傘
(
かさ
)
を力に、
岨路
(
そばみち
)
を登り詰めると、急に折れた
胸突坂
(
むなつきざか
)
が、下から来る人を天に
誘
(
いざな
)
う
風情
(
ふぜい
)
で帽に
逼
(
せま
)
って立っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
岩角に隠れた
河岸
(
かし
)
の紅葉も残り少なく、
千樫
(
ちがし
)
と予とふたりは霜深き
岨路
(
そばみち
)
を急いだ。顧みると温泉の外湯の煙は
濛々
(
もうもう
)
と軒を包んでたち
騰
(
のぼ
)
ってる。
白菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
道路係りは
岨路
(
そばみち
)
にかかっていた。葉末にかかった尺取り虫のようにうろうろした。測量係りが刻した印しを目あてにして山を削り谷を埋めて来た。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
見つけられまい、と
背後
(
うしろ
)
をすり抜ける出合がしら、錠の浜というほど狭い砂浜、娘等四人が揃って立つでしゅから、ひょいと
岨路
(
そばみち
)
へ飛ぼうとする処を
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、すぐ物頭に令し、
七手
(
ななて
)
の鉄砲組を先に急派して、峰の
岨路
(
そばみち
)
や谷の木蔭などに足場を取らせておいたのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
と、洞穴の前に
通
(
かよ
)
っている、細い
岨路
(
そばみち
)
の向うから、十五人の妹をつれた、
昨日
(
きのう
)
よりも美しい大気都姫が、眼早く彼の姿を見つけて、
眩
(
まばゆ
)
い絹の
裳
(
もすそ
)
を
飜
(
ひるがえ
)
しながら、こちらへ急いで来る所であった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三 高田の
大工
(
だいく
)
又兵衛と云ふ者、西山本に雇はれありしが、一夜急用ありて一人山道を還りしに、
岨路
(
そばみち
)
の引廻りたる処にて図らずも大人に
行逢
(
ゆきあ
)
ひたり。
其形
(
そのかたち
)
裸身にして、長は八尺ばかり、髪肩に垂れ。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
最前袖畳にした羽織を桜の杖の先へ引き
懸
(
か
)
けるが早いか「一剣天下を行く」と遠慮のない声を出しながら、十歩に尽くる
岨路
(
そばみち
)
を
飄然
(
ひょうぜん
)
として左へ折れたぎり見えなくなった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
多津吉の
同伴
(
つれ
)
はこの
岨路
(
そばみち
)
を、みはらしの広場下りに駆出した。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
A君は坂の途中で車を留めて、私は近路を歩いて、御先へ行って御待ち申しますと云いながら、左手の急な
岨路
(
そばみち
)
をずんずん登って行った。我々の車はまたのそのそ動き出した。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
岨
漢検準1級
部首:⼭
8画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“岨”で始まる語句
岨
岨道
岨伝
岨畑
岨立
岨谷