山狗やまいぬ)” の例文
むさはじだまは、ある時は禅僧のやうな露伴の懐中ふところに飛び込み、ある時は山狗やまいぬのやうな緑雨の襟首に滑り込み、またある時は気取屋の紅葉の鼻先きをかすめて飛んだ。
兩名りやうめい炭燒すみやきが、同一おなじ雪籠ゆきごめつてふうめられたやうになり、二日ふつか三日みつか貯蓄たくはへもあつたが、四日目よつかめから、あは一粒ひとつぶくちにしないで、くまごと荒漢等あらをのこら山狗やまいぬかとばかりおとろへ、ひからせて
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)