-
トップ
>
-
小声
>
-
こごゑ
(
小声)
陰徳でも
乞食の足を洗ふのは
忌嫌でございますなア。とグヅ/\
云ひながら、
忌嫌々々足を洗つて
遣る。
長吉は妙に
気まりが悪くなつて自然に
俯向いたが、お
糸の
方は一
向変つた
様子もなく
小声で
「えゝ」と云つて、
呆やりしてゐる。やがて
二人が顔を見合した。さうして一度に笑ひ
出した。美禰子は、驚ろいた様に、わざと大きな
眼をして、しかも一段と調子を
落した
小声になつて
と
漫にその詩の
首をば
小声朗に吟じゐたり。