宿元やどもと)” の例文
あの下女さえいなければ斯様かような事もあるまいから、いっそ宿元やどもとへ下げて仕舞おうか、いや/\待てよ、宿へ下げ、あの通りに喋られては大変だ
兎角とかくするうちに三月になつて、美吉屋みよしやにも奉公人の出代でかはりがあつた。その時女中の一人が平野郷ひらのがう宿元やどもとに帰つてこんな話をした。美吉屋では不思議に米が多くいる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
宿元やどもとへさがっても、決して、ひとにはいうなと、何か検校から口止めされた事でもないか」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
返さんと馬喰町へいたりて段々だん/\うけたまはり候へども何分市之丞の住所相知れ申さずよんどころなく宿元やどもとへ歸り候然るに質屋よりは又々流れの催促さいそくゆゑかくも此金子を融通ゆうづういたし質物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
以つて同人宿元やどもとへ御引渡し成下され候樣願ひ奉つり候と申により其段役人より奉行へ申立しかば越前守殿聞屆きゝとゞけられ早速さつそく召捕めしとり方申付られしにより同心兩人源右衞門に案内させ右酒屋に到りて彼のものにむか其方そのはう亂心らんしんと相見え居酒屋ゐざかや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かぞふれば廿五兩一分の利にして百二十兩となるよつて元利合せて二百二十兩四郎右衞門へかへすべし早速さつそく宿元やどもとより取寄とりよすべしと申渡さるまこと當然たうぜんなれば三郎兵衞は是非なくかしこまるとは申ものゝ只今たゞいま二百二十兩の金子匇々なか/\以て出來できかね候により何分御勘辨下ごかんべんくださるべしと申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)