家鳴やな)” の例文
ここかしこの短檠たんけいや燈台の灯はすみをふいて暗く揺れ、火元の方の烈しい物音と共に、たちまち物凄い家鳴やなりがすべてをつつんでしまった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よいこらさあ、それからラムが一罎ひとびんと」で家が家鳴やなりするのを、私はたびたび聞いたことがある。
自分も相当の好きらしく時々寺銭をっているそうなが、不思議な事にこの坊主を負かすと間もなく、御本堂がユサユサと家鳴やなり震動して天井から砂が降ったり、軒の瓦がすべったりする。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
家鳴やなり震動いたします」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
蛾次郎がじろうやみのなかへ飛んでいくと、そのとたんに半助はんすけのあたまの上で、ドドドドスン! というすさまじい家鳴やな震動しんどう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家鳴やなりのあとは一そう陰森いんしんとして、宏大な殿中は、それっきりミシリともしなかったが——やがて何事だろう?
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と用人の伝内が、頭から湯気を立てるのを面白がッて、次郎は拭きこんだ大廊下を、武蔵野を駆けるように、家鳴やなりをさせてドンドンと戻って来ました。そして
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
脇息きょうそくとともに仰むけに身をそらし、もの凄い家鳴やなりにゆれる天井を、白眼はくがんで見つめていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町の軒並は、家鳴やなりをさせて、度を失っていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家鳴やなりするような声でどなった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家鳴やなりと共に壁へぶつかった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ドタドタッと天井裏の家鳴やなり。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)