さい)” の例文
たまたまこの家のさいたる杜洩とせつが見舞に来た。病人は杜洩に向って豎牛の仕打を訴えるが、日頃の信任を承知している杜洩は冗談と考えててんで取合わない。
牛人 (新字新仮名) / 中島敦(著)
蝉羽子せんうし悄然として立つこと少時、かれを招きてともに車を推し、之を小亭に引きて飯を命じ、鮮魚をさいして食はしめ、未だ言を交ゆる事多からず、其の旧事を回想せしめん事を恐るればなり。
客居偶録 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ここの京都政治所まつりごとどころ閣臣かくしんは、柴田、丹羽、池田、羽柴の四人がひとしく庶政しょせいさいすることになっていて、決して、秀吉のみの中央舞台ではあり得ないのであるが、柴田は遠く越前にあって
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子路、子羔しこうをしてさいたらしむ。子曰く、かの人の子をそこなわん。子路曰く、民人あり、社稷あり、何ぞ必ずしも書を読みて、然して後学びたりと為さん。子曰く、是の故にかの佞者くちさときものを悪む。(二五)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
子路、子羔しこうをしてさいたらしむ。子曰く、の人の子をそこなうと。子路曰く、民人みんじんあり、社稷しゃしょくあり、何ぞ必ずしも書を読みて、然る後に学びたりと為さんやと。子曰く、是の故に佞者ねいしゃにくむと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
魯の国は季孫・叔孫しゅくそん孟孫もうそん三氏の天下から、更に季氏のさい・陽虎のほしいままな手に操られて行く。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)