客死かくし)” の例文
つひには元禄七年甲戊十月十二日「たびやみゆめ枯埜かれのをかけめぐる」の一句をのこして浪花の花屋が旅囱りよさう客死かくしせり。是挙世きよせいの知る処なり。
しかして楡木川ゆぼくせん客死かくし高煦こうこう焦死しょうし、数たると数たらざるとは、道衍袁珙えんこうはいもとより知らざるところにして、たゞ天これを知ることあらん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
徳川家茂いえもちしたがって京都に上り、病を得て客死かくししたのである。嗣子鉄三郎の徳安とくあんがお玉が池の伊沢氏の主人となった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
新聞を見ると、市川団五郎が静岡で客死かくししたとある。団五郎という一俳優の死は、劇界に何らの反響もない。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
マナガ市の精神病院で客死かくしした、かつてそうとう知名の外科医だった英国人の一狂人が、その死の床において、リッパア事件とニカラガ事件の真犯人であると告白したという話が伝わってきて
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
きたる、我もまた往かざるを得ず。修交、通商、航海は、期せずして各大名の手によりて、おもなる商估しょうこの手によりて行われ、天文二十年には、我が邦人にして、葡萄牙ポルトガル国に到り客死かくししたるものあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
つひには元禄七年甲戊十月十二日「たびやみゆめ枯埜かれのをかけめぐる」の一句をのこして浪花の花屋が旅囱りよさう客死かくしせり。是挙世きよせいの知る処なり。