宝生ほうしょう)” の例文
旧字:寶生
震災で宝生ほうしょう舞台の焼けたということは、報知講堂で宝生流素謡会を開かしめるようになった。今は誰もそれを怪しまぬではないか。
丸の内 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
宝生ほうしょう別会能べつかいのうを観るに及んで、なるほど老女にもこんな優しい表情があり得るものかと驚ろいた。あのめんは定めて名人の刻んだものだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やむを得ずんば、観世かんぜなり、宝生ほうしょうなり、竹本なり、歌沢うたざわなり、しばらく現今衆心のおもむくところにしたがい、やや取捨を加え、音節を改めば可ならん。
国楽を振興すべきの説 (新字新仮名) / 神田孝平(著)
能楽上の一大倶楽部クラブを起し、天下の有志を集めて依怙贔屓えこひいきなく金春こんぱる金剛こんごう観世かんぜ宝生ほうしょう喜多きたなどいふ仕手しての五流は勿論、わきの諸流も笛、つづみ、太鼓などの囃子方に至るまで
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
おとうさまはうたいがお好きで、五日にいちどずつ、宝生ほうしょうなにがしという師匠が教えにみえる。
やぶからし (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
大日、阿閦あしゅく宝生ほうしょう、無量寿、不空成就如来等です。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「いや、宝生ほうしょうでしょう。たしか。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
二三年前宝生ほうしょうの舞台で高砂たかさごを見た事がある。その時これはうつくしい活人画かつじんがだと思った。ほうきかついだ爺さんが橋懸はしがかりを五六歩来て、そろりと後向うしろむきになって、婆さんと向い合う。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宝生ほうしょう能楽堂に野口兼資かねすけの「江口」を観る。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)