宗達そうたつ)” の例文
宗達そうたつが日本に出現しますには、日本に宗達風の絵画、すなわち光琳こうりんの画風があったのであります。光琳から宗達が生まれてきたのであります。
能書を語る (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
クリスマスの夜の空に明月を仰ぎ、雪の降る庭に紅梅の花を見、水仙の花の香をかぐ時には、何よりも先に宗達そうたつ光琳こうりんの筆致と色彩とを思起す。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
昔の日本画家の例えば光琳こうりん宗達そうたつなどのあの、空想的な素晴らしい絵画の背後に、彼の自然からの忠実な、綿密な写生ちょうがどれだけ多く存在したか
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
私がやった宗達そうたつ寒梅かんばいの図の写真も、ちょうど彼の足もとにあたる壁に貼られていた。よく見ると、古い貼紙の中には、戦陣訓せんじんくんの一部もまざっていた。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
それは真に一宗の開拓であった。光悦に続いて宗達そうたつ光琳こうりん、乾山と燦爛さんらんたる命脈が持続されたのも無理はない。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
定雄はこれは宗達そうたつではないかと思ってしばらく眼を放さずにいると、いつの間にか茶が出ていた。
比叡 (新字新仮名) / 横光利一(著)
色彩のモンタージュはいかにすべきかについてはやはり東洋画ことに宗達そうたつ光琳こうりんの絵や浮世絵は参考になるであろう。俳諧連句はいかいれんくもまたかなりの参考資料を提供するであろう。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
丁度六日目に美濃の南泉寺なんせんじ末寺まつじで、谷中の随応山ずいおうざん南泉寺の徒弟で、名を宗達そうたつと申し、十六才の時に京都の東福寺とうふくじへまいり、修業をして段々行脚あんぎゃをして、美濃路あたりへ廻って帰って来たので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宗達そうたつなどの流儀を真似たのであるとはいへとにかく大成して光琳派といふ一種無類の画を書き始めたほどの人であるから総ての点に創意が多くして一々新機軸を出して居るところは殆ど比肩ひけんすべき人を
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
○赤石君因陀羅いんだら寒山拾得かんざんじっとくの事。(宗達そうたつ交換こうかん
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とりわけりん派の蒐集しゅうしゅうがあって、今日特にやかましくいわれている宗達そうたつ光琳こうりんのものなど数十点集めておったほどの趣味家で、この点だけでも大したものであった。
鰻の話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
しからば大雅たいが蕪村ぶそん玉堂ぎょくどうか。まだまだ。では光琳こうりん宗達そうたつか。なかなか。では元信もとのぶではどうだ、又兵衛またべえではどうだ。まだまだ。光悦こうえつ三阿弥さんあみか、それとも雪舟せっしゅうか。もっともっと。因陀羅いんだら梁楷りょうかいか。
河豚は毒魚か (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)