とう)” の例文
(———そして、この妹も上の妹も、まだ二人ながら「とうちゃん」でいる有様を、両親達は草葉の蔭からどのようにながめておいでか)
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「おつぎにゐらつしやるのは醉月のとうはん、豐竹小呂昇はんと承知して居るが、こちらにゐらつしやるも一人の娘はんはどなた樣です。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
何にしても中姉なかあんちゃんに一遍様子を見に来て貰いたい、と、雪子とうさんはっしゃっていらっしゃいます、と云うのであった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
とうはんもおつさんもお米さんもおつぎさんも來てくれ、又我が飮友達蟒さんは、ひくてあまたの御座敷を斷つて來てくれ
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
よいおうちとうさん方はみな早くから遊芸のけいこをされますのがその頃の習慣でござりましたお師匠さまは十の歳にあのむずかしい「残月」の曲を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
とうはん、お米、おつぎ、おみつに取圍まれて、荷車を從へながら、今更なつかしい川岸を歩いて行つた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
本来ならばもう「お嬢さん」だの「とうちゃん」だのと呼ぶのには可笑しい年頃なのだけれども、誰もそう呼んでいて奇妙に思う者はなかったし
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
………あれでこいさんは、何と云うてもとうちゃん育ちで、人のえとこあるさかいに、あんじょう円められてますねんわ
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「旦那さんと御寮人ごりょうんさんと、こいさんの椅子の後にお列び下さい。———そうですそうです、それから悦子とうさんはこいさんの右側に立って下さい」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「此処のとうちゃんのお友達で、独逸ドイツのお方のお子達でんねん。わてとえらい仲好しで、いつも『おッ師匠しょはんおッ師匠はん』云うてくれはりまんねんで」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「元気にしてはりましたで。秀ぼんがお腹こわしやはった時かて、看護婦よかよっぽど雪子とうさんの方が看病の仕方心得てはる云うて、御寮人様ごりょうんさん感心してはりました」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
雪子とうさんのお輿入こしいれが済みましたら、二三日お暇を下さいますように、と云っているのであった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
お宅の奥さんや雪子とうさんにしても、それを真に受けておられたのであろうけれども、およそ考えて見ても分ることは、こいさんがいくら働きがあると云っても、女の腕で
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)