“姉（ね）” の例文
或る年の暮に、貞固が五百に私語したことがある。「姉（ね）えさん、察して下さい。正月が来るのに、わたしは実は褌（ふんどし）一本買う銭もない。」
渋江抽斎 (新字新仮名) ／ 森鴎外(著)
姉（ね）えやん、光（み）っちゃん、お母（かあ）ん、はよおいでんか、あほめ、見えへんがな、すわらんか、などわいわいわめいている。
めでたき風景 (新字新仮名) ／ 小出楢重(著)
ただその中（うち）のエピソオドに現われている一事件です。主人公の画家の姉（ね）えさんとおっ母（か）さんとの間の関係です。
家常茶飯　附・現代思想 (新字新仮名) ／ ライネル・マリア・リルケ(著)
お姉（ね）え様（さま）は優しく待遇して下さるけれど、何だか落ちつきませんかった。
鴎外の思い出 (新字新仮名) ／ 小金井喜美子(著)
男は存外造作なく満足して、「半助でも二枚ありやあ結構だ、姉（ね）えさん、お前さんは分りの好（い）い人だ、きっと出世しますよ」
雁 (新字新仮名) ／ 森鴎外(著)
五百も余り棠の美しさを云々（うんぬん）するので、陸は「お母（か）あ様の姉（ね）えさんを褒めるのを聞いていると、わたしなんぞはお化（ばけ）のような顔をしているとしか思われない」
渋江抽斎 (新字新仮名) ／ 森鴎外(著)
「姉（ね）えさん、知っているのだね」
雁 (新字新仮名) ／ 森鴎外(著)