好色かうしよく)” の例文
範実のりざねなどと云ふ男は、篳篥ひちりきこそちつとは吹けるだらうが、好色かうしよくの話となつた日には、——まあ、あいつはあいつとして置け。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まよしけるうち近隣きんりんの社人玉井大學たまゐだいがくの若黨に源八と云者いふものありしが常々つね/″\通仙つうせんの見世へ來てははなしなどして出入りしに此者このものいたつ好色かうしよくなれば娘お高を見初みそめ兩親の見ぬ時などは折々をり/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もと播州ばんしうむろの津にいたりけり當所は繁華はんくわみなとにて名に聞えたるむろ早咲町はやざきまちなど遊女町いうぢよまちのきつらねて在ければ吾助は例の好色かうしよく者と言ひ懷中には二百兩の金もあり先此處にてつかれを慰めうつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
得たりと歡びけるかくて吾助は桝屋方に居ること凡そ半年餘りなるがうまれ得ての好色かうしよく者なれば家内に召使めしつかふ下女に折々をり/\不義など仕掛しかけれども既に前章にもふ如く至てみにくき男ゆゑ誰あつて心にしたがはんといふ者なかりしに其頃此桝屋へ上總の在方より奉公ほうこうに來りしおかねといふ女今年十七歳なるがちやう百には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)