天衣無縫てんいむほう)” の例文
實際じつさいうんのつかないときたらこれほど憂欝いううつあそびはないし、ぎやくうんなみつて天衣無縫てんいむほうパイあつかへるときほど麻雀マージヤンこゝろよ陶醉たうすゐかんじるときはない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
この辺で止めて置けば万事が天衣無縫てんいむほうで、彼女の正体も暴露されず、私の病院も依然としてマスコットを失わずにすんだ訳であったが、好事こうず多し、とでも言おうか。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わが御主君といえども、筑前守の天性の大気と、天衣無縫てんいむほうぼうとした人がらにある衆望には、到底、及ばないものがある。時人は滔々とうとうこの人の驥尾きびに付し、時勢は着々この人に次代を
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういう意味で先生の研究指導ぶりは、天衣無縫てんいむほうの域に達していたと言えよう。
しかし、その復讐に対する、俺の返り討の手際が、どんなにまあ鮮かなものだったろう。天才と天才の一騎討ちだ。天衣無縫てんいむほうの芸術だ。彼奴がその前半を受持ち、俺が後半を受持った所の一大芸術品だ。
恐ろしき錯誤 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)