大蟹おおがに)” の例文
与十 いてえ。(と叫んで)わっ、(と反る時、鯉ぐるみ竹の小笠を夕顔の蔭に投ぐ。)ひゃあ、藪沢やぶさわ大蟹おおがにだ。人殺し!
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蠅男は、大蟹おおがにのような右手の鋭い鋏をふりかざして恐れ気もなく帆村に迫ってきた。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大蟹おおがに小蟹こがに
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月の客と澄ましてながめている物見の松の、ちょうど、赤い旗が飛移った、と、今見る処に、五日頃の月が出て蒼白あおじろい中に、松の樹はお前、大蟹おおがに海松房みるぶさ引被ひっかずいて山へ這出はいでた形に
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大釜おおがまに湯気を濛々もうもうと、狭いちまたみなぎらせて、たくましいおのこ向顱巻むこうはちまきふみはだかり、青竹の割箸わりばしの逞しいやつを使って、押立おったちながら、二尺に余る大蟹おおがに真赤まっかゆだる処をほかほかと引上げ引上げ
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)